elspear FPGA/CPLD、アナログ、エルセナ取扱製品 技術情報サイト

FPGA/CPLD、アナログ、エルセナ取扱製品 技術情報サイト elspear - エルスピア

株式会社エルセナが運営するサイトです。

  • HOME
  • 商品を探す
  • 技術情報
  • セミナー・ワークショップ
  • お問い合わせ
関連キーワード(クリックするとサイト内の関連記事の検索結果が表示されます)



このエントリーをはてなブックマークに追加



分布している「定数」とはキャパシタ(capacitor)とインダクタ(inductor)などの回路素子をさします。( 脚注1 )


配線とグラウンドとの間にキャパシタンス(または静電容量)が存在するのは何となく理解出来ると思います。 プリント配線板の場合、1cm当たり、およそ1pF(ピコフラッド)の容量があります。 インダクタンスは、1cm当たり3nH(ナノヘンリー)から5nH程度です。

この1cm当たりというのは、これらの回路素子が「分布して」存在するということを意味します。 1cm当たり1pFということは、1mだと100pFに相当します。 キャパシタもインダクタもどちらも分布して存在します。 これを等価回路で書き表すと、図1のようになります。 この一つ一つの素子が先に述べたように分布して存在しているわけです。

分布定数回路:分布定数回路の等価回路


この等価回路の1区間Δxはどのくらいの長さでしょうか。 何ミリとか何センチとかの具体的な長さはありません。 理論的には無限に短い区間です。 微分と同じ考え方です。 とはいっても、SPICE(スパイス)のような回路解析ソフトで等価回路を作るとしたら、具体的な長さが必要になります。 このようなときにどのくらいの長さを選ぶかについては、また別の機会に述べることとしますが、高速信号の場合、ミリメートルのオーダーで、あまり速くない信号の場合は、1cm程度に選ぶこともあります。 短く(細かく)選ぶと精度は上がりますが、解析時間が長くなるので、ある程度の妥協が必要となります。

キャパシタとインダクタが分布しているので、この両者でエネルギーをバトンタッチして信号を伝えます。 この回路には抵抗分が含まれていません。 実際には、小さな抵抗成分があります。 ごく普通のプリント配線板のパターンには、1メートル当たり4Ω程度の抵抗があります。 普通の信号伝送では、この抵抗分は無視出来るので、損失を考えません。 バケツに水を入れて、次々にリレーしていくようなものです。 バケツに穴が開いてなくて、リレーの際にこぼさなければ、理論的には何メートルでも水の量は減らないのと同じことです。 バケツに穴が開いていたり、リレーの際に水をこぼすような信号伝送路を損失線路といって、ギガビット伝送では考慮する必要が生じてきます。 損失線路については、このコラムの最終章で触れることとします。

このキャパシタとインダクタを求めるにはやや難しい計算が必要ですが、伝送路の断面寸法と絶縁材の材質とが分かっていれば、解析ソフトで計算することが出来ます。 いろいろな近似式も公開されているので、比較的簡単に求めることが出来ます。 図2のように断面寸法を与えて求めます。例として、W=100um、h=100umのときに、L=360nH/m、C=119pF/mとなります。( 脚注2 )

分布定数回路:断面寸法からL, Cを求める

このキャパシタとインダクタの値が分かったら何になるのか? それは、前回 説明した特性インピーダンスと信号の伝わる速さを求めることが出来ます。直感的には、キャパシタが大きいと、より大きな電流が流れることは容易に想像できます。 大きな電流が流れるということは、特性インピーダンスが低いということです。 インダクタが大きいと電流が流れにくいことも想像できます。 電流が流れにくいということは、特性インピーダンスが高いということです。 信号の伝わる速さは、キャパシタとインダクタが大きいほど遅く、逆に小さいほど速くなります。(詳細は 脚注3 参照)


脚注1
キャパシタはコンデンサと言ってもいいのですが、英語圏ではcapacitorのほうが通じるようです。
インダクタもコイルでもいいのですが、コイルには捲線といったイメージがあるので、インダクタンスを有する素子という意味でここではインダクタといいます。

脚注2
計算ソフトはいろいろありますが、一例として以下があります。
GreenExpress V2 : http://www.windward.co.jp/

脚注3
特性インピーダンスは、インダクタ÷キャパシタの平方根で求められます。
信号の伝わる速さは、単位長(一般にはメートル)を伝わるのに要する時間(伝搬遅延といいます)の逆数です。
伝搬遅延はインダクタ×キャパシタの平方根で求められます。
インダクタL=360nH、キャパシタC=119pF/mとすると
特性インピーダンスZo=√(360×10^-9÷119×10^-12)=55Ω
伝搬遅延td=√(360×10^-9×119×10^-12)=6×10-9=6.54ns/m となります。
真空中の光の伝搬遅延は、3.3ns/mなので、ボード上を伝わる信号は、およそその倍の時間を要します。





【第4回 分布定数回路と集中定数回路の境界線
(1円玉2枚を超えると分布定数回路?)】 へ



このエントリーをはてなブックマークに追加



関連キーワード(クリックするとサイト内の関連記事の検索結果が表示されます)





お問い合わせはこちらから資料請求はこちらから

ETS 検証の部屋
Device Clinic メールマガジン登録

エルセナについて 商品・技術情報 セミナー・イベント情報
  会社概要   メーカ名から探す   アルテラインストラクタトレーニング
  沿革   カテゴリから探す   アルテラオンライントレーニング
  アクセスマップ   アプリから探す   エルセナ オリジナル セミナー
  エルセナ総合カタログ   テクノロジから探す   アルテラ オンライン セミナー
   
  SoC Linux 道場   アナログ技術者への道
  検証の部屋   魅力シリーズ
  スペシャリストコラム